どうぶつのり


 
これは茉莉枝のお気に入りの「のり」です。
幼少の頃に使った記憶のある方、大勢いるのではないかと思います。


もともと昭和レトロなものが大好きな私ではありますが、
こののりは私がリアルタイムで過ごしてきた昭和の名残でもあります。
私が幼稚園生のときのお道具箱には、
サクラクレパス、きみどり色のハサミ、
せっけんで手を洗ったあとには保護クリームを塗りましょう、
とのきまりごとからニベアクリームの青色をした平べったい缶、
そしてこの、「どうぶつのり」が入っておりました。


おめめをクリクリさせて、いたずらっぽさを含んだこのわんちゃんのお顔を見ると、
いつも、とてもあたたかくて懐かしい気持ちでいっぱいになります。
どこか、すこし憎たらしい感じもありますし。
こののり、ふたの部分になる赤いお帽子を脱がせると、
中には小さなへらが入っておりまして、そのへらで中身ののりをすくって使用するのです。
使っているうちに最終的にはへらものりでべたべたになってしまいますので、
幼い頃などは指をのりでべたべたにさせながらも、工作の時間を楽しんでおりました。


こののり、調べてみたところ、やはり利用者は幼児を対象とし安全性を重視したものとして、
小麦を原料に作られたでんぷんのりであるとのこと。
誤って幼児のお口の中に入ってしまうようなことがあっても安全なのですね。


そしてもうひとつ。
このでんぷんのりこそが日本で初めて作られた「腐らないのり」なのだそうです。
商品の正式なお名前は「フエキのり」と言って、
フエキとは「不易」と書き、「永遠に変わらない」という意味があるそうです。
とすると、このかわいらしいわんちゃんの中には
「永遠」がとじこめられているのですね!!


フエキのり工場では、毎日何万という数の永遠がこのわんちゃんの中に詰め込まれ、
ベルトコンベアーで流れている・・・。
そんな光景を頭に思い浮かべるだけで茉莉枝の胸は高鳴ります。
私はいつも、こういった想像をめぐらせては、
そのものにたいして尋常ではない愛着を感じてしまうことが多々あります。


フエキのり工場は、私にとって「夢のチョコレート工場」よりも
「夢のまた夢の永遠工場」です。
町中に永遠をはこぶわんちゃんたちが、工場の中に数えきれないくらいうじゃうじゃいる姿は、
なんともかわいすぎますもの!


もしも茉莉枝が男の子だったら、
愛する人には、永遠の輝きをもつダイヤモンドより、
永遠をとじこめたこの「どうぶつのり」(安っー!)
を渡してプロポーズすることでせうね!!
「この世界で変わらないもの。僕の君への想いとこのどうぶつのりさ!」
とかなんとかいいながら(きっとふられます)。


不易糊工業株式会社
http://www.fueki.co.jp/