耳あて(ユージニアキム)



つい先日、今季初の「耳あて」を購入いたしました。
ユージニアキム(Eugenia Kim)というお帽子を専門とするお店のもので、
商品は、一品一品が手作りで作られているそうです。
「今季初」というくらいですから、もちろん茉莉枝はほぼ毎年のように、
「耳あて」を購入しているのです。


幼い頃、私にとっての「耳あて」というのは、
雪かきをする時に使ったり、はたまた、真冬の深夜にせっせと道路を掘っている、
工事現場のおっちゃんたちがつけるものだと信じて疑いませんでした。
雪かき用のシャベルや、道路を掘るためのドリル同様、
耳あては彼らの作業を助けるための必需品。
どちらも寒さで鼻の頭まで真っ赤にしながらの重労働でありますし、
仕事のあとは冷えた体を温めるために、仲間たちと土鍋を囲んで、
日本酒とかを呑むのです。
(鼻の頭以外のところまで真っ赤になりますね!)
つまりは、耳あてをつける人も、つけることも、
それらすべてが「やぼったいもの」(すみません・・・)だと認識しておりました。


それが、ある日をきっかけに、私にとっての耳あてが、
かわいくてかわいくて仕方の無い存在に変わっていきます。


それは茉莉枝が17歳の時でした。
ある小さな古着屋さんで「蛍光がかった水色」の耳あてを見つけました。
その耳あてを何の気なしに耳にあててみますと・・・。


突然、私の体に電流が走りました!


ビビビのねずみ!!!


私の耳を覆う、その「蛍光がかった水色」の耳あての・・・


「不自然さ」といったら!!!



私の体にも、この世界にも、決して馴染むことなく、
ただそれは「ど派手な耳あて」として存在しておりました。


だいたい、人が耳あてをつけている姿って、
宇宙人(エイリアン)みたいではありませんか?



耳あてをつけると、少しだけ「人間ばなれ」できるんです。
私が思うに、この世に人として生まれてきたら、しなければならないこと。
「乳ばなれ」、「親ばなれ」、そして「人間ばなれ」ではないでしょうか。



茉莉枝がつける耳あては、今回購入したものもそうですが、
とびきり「不自然」な、大げさなファーがついていたり、
ボヘミアーンな感じの毛糸が巻き付いていたりと、
なんだかよくわからない、宇宙的なデザインのものが多いですし、
また、そうでなくてはいけません。
私自身、そういうものにしか惹かれないのです。



存在やデザインが「不自然」であるほど、
それらを身に付けたとき、
自分にふりかかるこの世界のあらゆる力を、
遮断することができるような気がします。
そうであるならば、
耳あてによって「寒さ」が感じられない状態になるのもまた、
当たり前ですよね(やっと耳あて本領発揮!)。


私が耳あてをつけていると、
「違和感ないねー。」
という言葉をいただきます。


「不自然」な耳あてが、私の体の一部として「自然」に馴染んで見えているなんて、
それって・・・
茉莉枝がすでに「人間ばなれ」し始めている、ということなのでせうか・・・(ヤッター!)。



ユージニアキム(Eugenia Kim)

http://www.eugeniakim.com/